無道路地(囲繞地)の土地取引

無道路地の土地は再建築ができれば価値がありますが、再建築の可能性が無ければ、いっきに価値がなくなります。そこで実際に無道路地を購入した方が、家を建てるまでの経緯で問題になった点と、解決した方法を一つの例として記載させてもらいます。

今回取引した土地と道路、隣接地は下記の通りです。

対象地とBCの土地は昭和20年代に家を建てており、現在も当時の建物を利用している。BCの右側にある位置指定道路は昭和40年代に指定されていることから、新築時には、図の通路(上下水道・ガス管)から全ての家が接道を取っていたのか?と想定された。(3件とも相続されており、確認申請書等も無いため不明)

通路(上下水道・ガス管)の土地所有者は、昔の地主となり、現在はこの区画には住んでいないが、通路を誰かに売却するとトラブルになると思い、これまで所有していた。

問題点

1)対象地は通路部分を接道要件として取得できれば再建築できる可能性があるが、通路の所有者は、通路に埋設されている水道・ガス管が近隣の所有者が使えなくなるのは困る。また、今まで通路として利用していた居住者が通路として利用できなくなるのは困る。という理由で売却に前向きではない。また、誰か1人に特別な扱いをするのもトラブルのもとになるので、再建築用の通路として貸してもらうことも難しい。
2)通路部分は近隣の土地所有者(B・C)が、接道要件としてこれまでに申請している可能性がある。BまたはCが接道要件として申請していれば、同じ土地を接道要件として申請できず、再建築ができなくなる。

解決までの流れ

1)現在の土地所有者に対しては、通路部分を近隣の土地所有者(A・B・C・D)との共有物として、それぞれに持分を持ってもらう事で、通行や埋設物の権利をもってもらうことで売却していただく了承をいただく。
2)B・Cはそれぞれ、昭和20年代の建物で確認申請の書類は無く、特定行政庁にも概要書は保管されていない。また、現所有者も記憶にない。しかし、現在ではB・Cともに位置指定道路へ接道が取れるため、対象地が通路部分を接道要件としても、近隣の土地所有者には問題が出ないので、B・Cに納得してもらい接道要件として利用させていただきました。

再建築については、今回は通路部分があり問題は少ないように感じましたが、極端にいえば強引に接道要件として申請してしまうことも不可能ではないのかと思われます。しかし、居住用の住宅を建築するため、近隣の方とのトラブルは現在も、将来も無いように権利関係を可能な限り整理したうえで、進めることが良いのかと思いました。

昔から住んでいる近隣の居住者としては、これまで問題が無かったのに、突然、通路部分を接道要件として利用したいから、売却してほしい。または貸してほしい(接道要件として利用させてほしい)という外部の人間が出てくると、前向きに協力していただけない方も多いのかと思いました。そこで、売主である所有者が良好な付き合いをしてきたか?また、売却に伴い、近隣へ挨拶をしたりする周囲への気遣いがあるのと、無いのでは売却するためには必ず必要になってくるのではないかと思いました。

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